■ それは、たい焼き屋さんから始まったロックな話
ある日、京都三条を歩いていた女性が、たい焼き屋の前で足を止めました。
視線の先にあったのは──紫色のポスターに浮かぶ、あのロゴ。
「エアロスミスって、あの?……たい焼き屋に?」
はい。そうなんです。
2023年秋に突如登場したのが、「エアロたいやき」。
アメリカの伝説的ロックバンド「Aerosmith(エアロスミス)」と、日本の和スイーツチェーン「鳴門鯛焼本舗」による、まさかの公式コラボたい焼きです。
しかもこのたい焼き、ただ“話題づくり”にとどまらず、本気で人気を呼びました。
■ 大行列、完売、復活──「エアロたいやき」の歩み
初回販売は、2023年11月。
スティーヴン・タイラーの“鯛焼き愛”がきっかけとなり、「鳴門鯛焼本舗」とのコラボが実現しました。
- たい焼きの中身は、なんとりんご餡。
- パッケージはエアロスミスのロゴ入りで紫系の特製デザイン。
- 店舗ではロックなBGMとともに販売され、「パリッ」と焼き上がった薄皮が特徴です。
話題はたちまちSNSで拡散され、店舗には長蛇の列。
その人気ぶりに餡の生産が追いつかなくなり、数日で販売中止という異例の事態に。
しかし2025年夏、ファンの声に応えるように第2弾として復活。
今度こそ「買えた」「食べられた」と、SNSには歓喜の声があふれました。
■ 実際に食べた人の声は、けっこう“あったかい”
SNSやブログを覗いてみると、ちょっと意外な感想が多く見られます。
「変わり種かと思いきや、パリッとした皮と甘酸っぱくて優しいりんご餡。美味しいんだよ、これが。」
「ネタ商品かと思ってたのに、ちゃんとおいしい。エアロスミス、ほんとに食べてそうでじわじわくる。」
「紙袋のデザイン、ライブグッズみたいでテンション上がった!」
たい焼きをネタとして扱っているのではなく、ちゃんと美味しいからこそ人に勧めたくなる。
そのあたたかさが、投稿の文体にもにじんでいます。
■ 海外でもたい焼きは“進化中”だった
ちょっと視点を広げてみましょう。
たい焼きって、日本の伝統的スイーツのように思われがちですが、実は海外でも進化を続けています。
- アメリカでは、アニメの影響で注目を集めたあと、ベーコンチーズ入りたい焼きやアイスクリームを挟んだたい焼きバーガーが登場。
- ロシアでは、女性起業家がたい焼きカフェをオープン。現地のパン文化と融合させ、ユニークな味わいに。
- 台湾では、タピオカや黒糖入りのローカライズが進んでいます。
この“文化の交差点”のような存在がたい焼き。
エアロたいやきも、その1つの流れの中にあるのかもしれません。
■なぜ、たい焼きは人の心をつかむのか?
ここからは少しだけ、考える時間です。
たい焼きって、不思議なお菓子だと思いませんか?
- 外は香ばしくて、なかはとろり。
- 手に持てて、できたてが最高。
- 見た目が「魚」なのに、どこか愛らしい。
それだけでも十分なのに、エアロスミスという異文化が入ると、「なんかよく分からないけど好き!」という感情が生まれてしまう。
これって、たぶん「予定調和から外れる面白さ」なんですよね。
たい焼きは“あんこ”だと思ってたのに“りんご”。
しかも“ロックとコラボ”。
でも“ちゃんとおいしい”。
このギャップが、ちょっとした“ときめき”になる。
そして、寒い日にホカホカを頬張って、「ああ、なんかいいな」って思う。
そんな瞬間があるから、きっと私たちは、またたい焼きを手に取るんだと思います。
■ まとめ:「エアロたいやき」は、ちょっと疲れた日にちょうどいい
エアロスミスの激しい音楽と、たい焼きのやさしい甘さ。
ふつうは混ざらない2つが、不思議とマッチしてしまった。
「ネタみたいに見えて、意外と本気。」
「たい焼きなんだけど、ちょっとしたライブ気分。」
エアロたいやきが人気になった理由は、たぶんそれだけじゃありません。
“違うものを重ねても、ひとつにできる”という楽しさが、そこにあったから。
ちょっと笑って、ちょっとあたたかくなれる。
そんなたい焼きが、今日も誰かの手の中にあります。